ALPS メカニカルキースイッチとその歴史
この記事は 自作キーボード #2 Advent Calendar 2018 の記事です。
更新履歴
- 2018/12/24 00:00
- 初版
- 2018/12/24 18:30
もくじ
- 更新履歴
- もくじ
- まえがき
- はじめに
- ALPS とは何か
- ALPS キースイッチの歴史
- Forward SKBL / SKBM Series
- おわりに
まえがき
- この記事は一時暇な時間を全てキーボードに向けていた ALPS スイッチ狂が書いたものです。
- 知識が 5 年前くらいで止まっています。 念の為 Deskthority Wiki で現状を軽く確認したものの追いきれていません。
- 写真撮ろうと思ったらもう残り時間がなかったのでだいたい Deskthority Wiki からの引用です。
- 勝手な想像、考察が数多く含まれます。
- 間違っているところなどありましたら Twitter (@zeriyoshi) までご連絡いただけると幸いです。
はじめに
今、自作キーボード界隈がとても盛り上がっている。誰の目から見ても明らかなほど盛り上がっている。
"キーボードの自作" という分野が盛り上がるにつれ、そのキーボードに使われる部品であるメカニカルキースイッチにも注目が集まるのは当然の流れだ。
Cherry (現 独 ZF Electronics) の持つ Cherry MX スイッチの特許が切れた*1こともあり、 2015,6 年を堺に多くの中国系メーカーから Cherry MX のクローンスイッチが登場するようになった。
これらのクローンスイッチはただ安価なだけではなく、Cherry MX に比べ動作がスムーズ (所持しているが、 Gateron 系のスイッチは特にスムーズ) だったり、金属式のクリックバネ (Kailh Speed Gold Switch) を搭載していたり、サイズやマウントは互換があるもののより軸ブレを抑えたもの (Kailh BOX Switch, Outemu Switch) など様々なアドバンテージを持つものも多く登場してきた。
しかしメカニカルキースイッチ ≒ Cherry MX Type というわけではない。古き良きメカニカルキーボードの世界では Cherry MX をシェアでも知名度でも凌ぐキースイッチが存在していたのだ。
ALPS スイッチを知っているだろうか。
キーボードを趣味としていれば、名前だけは聞いたことがあるという人も多いかもしれない。 現時点で ALPS キースイッチは既に生産が途絶え、新品を入手する手段はデッドストック品を探し当てる他にない。入手性が悪い以上、なかなか話題になりにくいのもまた事実だ。
しかし、 80 ~ 90 年代のコンピュータにおいて ALPS キースイッチは絶対的な存在であり、多くのコンピュータのキーボードにあたりまえのように搭載されていた。
今でこそ信じられないかもしれないが、 ALPS キースイッチは Apple / IBM / NEC と今のコンピュータに続くすべてのコンピュータのキーボードに搭載されていた。それほどまでに ALPS キースイッチの評価は高いものだった。
本記事では、そんな ALPS キースイッチの辿った栄枯盛衰の歴史をかつて存在したスイッチと共に紹介したいと思う。
ALPS とは何か
ALPS とはアルプス電気株式会社のことであり、現存する日本の電子部品メーカーである。電子部品の名の通り、多くのスイッチデバイスを製造しているメーカーだ。
今でこそ入力デバイス分野で存在感のない ALPS だが、かつてコンピュータ向け入力機器の分野では ALPS の名がないところを探すほどが難しいほどだった。*2
コンピュータ向けの入力デバイスに関して、 ALPS は数多くの特許を取得している。その数からも如何に ALPS がこの分野に力を入れていたのかが理解できると思う。
ALPS キースイッチの歴史
本記事では ALPS キースイッチの歴史について紹介するが、あくまでも紹介するのは本筋となる ALPS SKCC 〜 SKBL / SKBM シリーズに的を絞っての話とさせてもらいたい。 (紹介したいのは山々だが数が多すぎて無理 いつかまとめたい...)
ALPS SKCC Series
ALPS SKCC Series は後の ALPS SCKL / SKCM Series に続く原点となるメカニカルキースイッチである。
タイプとしてはリニアおよびロック (ボールペンのように押した状態で保持され、再度押すと元に戻る) のみであり、軸色としては Green, Cream, Black が存在しているが、どれも基本的には同一の構造になっている。
Contact Plate (接点板) は後の ALPS SCKL / SKCM と非常に似た形状 (というか同一だった気がするのだけど記憶が定かじゃない...) をしているのがわかる。
変種として軸の長さが長いものや斜めを向いているものが存在するが、その他の構造は同一になっている。
ALPS SKCL / SKCM Series
一般的に ALPS キースイッチと言えばこの ALPS SKCL / SKCM Series を指すことが多い。あまりにも種類が多いので、この項では世代ごとに分けて紹介していきたい。また、ここで紹介するのはあくまで本筋となるスイッチのみとなる。長いキー用の荷重の高いスイッチなども存在しているが、省略させていただきたい。
ALPS スイッチとしてはこの段階でキーキャップのマウントも確立された。キーキャップに関してだけ言えば Tai-Hao などで今もなお生産され続けている。
前者の ALPS SKCL は LED 用のスリットが設けられたリニアタイプのスイッチであり、 ALPS SKCM は LED 用スリットの場所にメタルリーフが仕込めるようになったタクタイル / クリックタイプのスイッチである。
最初期
ALPS SKCL / SKCM の最初期に製造されたスイッチ。大まかに共通する特徴は以下の通り。
- 軸に塗布された水性潤滑剤
- スイッチケース下部まで届く Full-hight な Contact plate (接点板)
- トップケースに ALPS ロゴの印字がないものがある
ALPS SKCL Green / Linear Amber / Linear Brown
これらは ALPS SKCL 世代のリニアタイプスイッチの中では最初期のものと思われる。
Contact Plate はケースの底まで樹脂が伸びた Full-height タイプであり、樹脂には色がつけられている。
Contact Plate の樹脂色については製造時期によって異なっているようで、最初期の物が黒、中期の物が灰、末期の物が白になっている。
おそらくコストカットのために塗料を減らしたのではないかと想像しているが、真相は誰も知らない。
この世代では軸に水性潤滑剤 (今は亡き RO-59Kt に似たもの) のようなものが塗布されており、状態さえ悪くなければ非常にスムーズである。
SKCL Green, Linear Amber, Linear Brown の色の差異については今もなお不明なままだが、個人的な想像としてこれは製造工場を表しているのではないかと考えていたりする。
というのも当時 ALPS は合弁会社を設けており、台湾 Forward Electronics 及び 韓国 Gold Star ALPS *3 がスイッチの製造を行っていた。
が、結局のところ単なる自身の妄想でしかないので真に受けないでほしい。
所有している ALPS SKCL Green / Linear Amber / Linear Brown Switch
- ALPS SKCL Green (Black contact plate @ IBM 5550 Multistation Keyboard)
- ALPS SKCL Green (Grey contact plate @ SHARP X68000 Keyboard)
- ALPS SKCL Green (White contact plate @ SHARP X68000 Keyboard)
ALPS SKCM Blue / Amber
おそらく最初期のものと思われる ALPS SKCM Series キースイッチ。
SKCL Series で LED 用となっていたスリットに Leaf spring (板バネ) を搭載することでクリック音と触覚フィードバックを実現している。
SKCL Series 同様この世代では軸に水性潤滑剤のようなものが塗布されている。これ以降の世代では塗布されていない。
SKCL Series 同様製造時期によって Contact plate の樹脂色が異なっており、黒 -> 灰 -> 白 の順で新しくなっている。
SKCM Blue / Amber 共にクリックタイプだが、軸色が異なる。
Deskthority Wiki の Amber のページでは通常の ALPS SKCM Blue と比べて打鍵感が異なる旨説明されているが、これは ALPS SKCM Blue の最初期モデルにも同様の傾向があり、黒接点かつタクタイルバネに折り目がついていないものでは明らかにそれ以降とは異なる打鍵感を感じることができる。
SKCM Amber は今の所 Apple IIc のキーボードのみで確認されている。
個人的には SKCL 同様 Amber と Blue も製造工場の違いを表しているのではないかと考えている。 SKCM Blue では Contact plate の樹脂色が灰でかつ Leaf sprint に折り目がついていないものを確認できていないのだが、 SKCM Amber に関しては灰でも Blue の黒同様の仕様なのが気になる。
所有している ALPS SKCM Blue / Amber Switch
- ALPS SKCM Blue (Black contact plate @ PC-8801/SR)
- ALPS SKCM Blue (Grey contact plate @ PC-8801)
- ALPS SKCM Blue (White contact plate @ PC-8801)
ALPS SKCM Brown
ALPS SKCM Blue / Amber と同時期に登場したと思われる最初期の ALPS SKCM Series タクタイルスイッチ。
これ以降に登場する ALPS SKCM タクタイルスイッチとは完全に構造が異なっており、 Leaf spring が樹脂で支えられている。
また、キーのスムーズさを維持するためか Leaf sprint にフッ素系樹脂のようなものが吹き付けてあり、コストのかかったスイッチになっている。
Leaf sprint が強靭なおかげか ALPS SKCL / SKCM Series の中では最もグラつきの少ないスイッチになっており、歯切れの良い打鍵感が特徴。逆に強靭すぎるせいか荷重がかなり重めになっているので、今だとあまり受け入れられないキースイッチかもしれない。
ALPS SCKM Blue / Amber 同様製造時期によって Contact plate の樹脂色が異なっており、 黒 -> 灰 -> 白の順で新しい。
SKCM Blue 同様軸に水性潤滑剤のようなものが塗布されている。
所有している ALPS SKCM Brown Switch
- ALPS SKCM Brown (Black contact plate @ IBM 5140 PC Convertible [Made in Japan])
- ALPS SKCM Brown (Grey contact plate @ IBM 5140 PC Convertible [Made in Taiwan])
ALPS SKCM Green
最近まで存在すら知らなかったスイッチ。どうやら SKCM Brown の直接の後継らしい。
軸色が緑色だが LED 用のスリットがなく、タクタイルスイッチとなっている。
タクタイル用の Leaf spring は SKCM Brown と異なり樹脂で支えられていないが、形状はほぼ同一であり感触としても似通っている模様。
参考: Mousefan さんによる ALPS SKCM Brown の分解。 SKCM Green と同様の形状をしていることがわかる。
ALPS の型番としては SKCMAT がこれにあたるらしい。この界隈では有名な (?) Chyrosran22 氏が流通業者のデッドストック品を購入し、植え替えたキーボード (Project L) を作成している。
採用例が殆ど無く、 SKCM Brown から SKCM Orange に変更される間のごく僅かな期間に製造されたものと思われる。
ALPS SKCM Orange / Cream
ALPS SKCM Brown の後継と思われるスイッチ。 (訂正: SKCM Brown の直接の後継と思われる SKCM Green が存在していた。 SKCM Orange は SKCM Green の後継にあたる) タクタイルスイッチの中ではこれが一番という人も多い。
ALPS SKCM Brown と異なり、 Leaf spring が SKCM Blue / Amber 同様単体構造になった。おかげで荷重は軽くなっているものの個体差が比較的大きく、戻る時に "チッ" という音を出すものも少なくない。これがあまり好きではないので戻り音の無いものを選別して使うようにしている。
基本的に戻り音の原因は Leaf spring なので角度調整などをすることで解消できるらしいが、当時の自分にはできなかった。
SKCM Brown 同様軸に水性潤滑剤のようなものが塗布されている。これ以降の世代では塗布されていない。
当時 Contact plate が黒なものが存在しないのが謎だったのだが、当時まだ開発されておらず Brown が製造されていたのではないかと想像している。
ALPS SCKM Blue / Amber 同様製造時期によって Contact plate の樹脂色が異なっており、 黒 -> 灰 -> 白の順で新しい。
Orange に関しては Contact plate が Full-hight でないものも確認している。
これはこの後のスイッチに共通する仕様で、おそらくは金メッキしなければならない範囲を減らすためのコストカットなのではないかと思う。
SKCM Cream に関しては台湾での展示会の画像があることから SKCM Blue と同じ時期に製造されていたと思われるが、 Contact plate の樹脂色からするに Orange よりは後な気がする。
所有している ALPS SKCM Orange Switch
- ALPS SKCM Orange (Grey contact plate @ Apple M0116 Keyboard)
- ALPS SKCM Orange (White contact plate @ Apple Extended Keyboard)
- ALPS SKCM Orange (White Non Full-Height contact plate @ Apple Extended Keyboard)
ALPS SKCM Damped Cream
Cherry MX Red Silent と同様軸に消音ダンパーが搭載されたタクタイルスイッチ。 Apple Extended Keyboard II や Silicon Graphics の Bigfoot キーボードに搭載されている。
ギリギリコストカットが進む前だったようで、軸以外の仕様としては SKCM Orange と同等になっている。 Contact plate の樹脂色は白しか確認できてないが、もしかすると灰もあるかもしれない。
SKCM Orange 同様軸に水性潤滑剤のようなものが塗布されている。これ以降の世代では塗布されていない。
静かとはいえそれでもメカニカルスイッチなので、それ相応の音はする。 Cherry MX Red Silent がリニアなのに対してこちらはタクタイル用の Leaf spring を搭載しているので、そういう意味でもやっぱり音がする。
所有している ALPS SKCM Damped Cream Switch
- ALPS SKCM Damped Cream (White contact plate @ Apple Extended Keyboard II)
中期
中期に製造されたスイッチ。ここからコストカットが始まる。共通する特徴としては
- 軸に水性潤滑剤が塗布されなくなる
- ボトムケースに足場が設けられ、 Contact plate の長さが短くなる
- Contact plate の樹脂色はすべて白になり、染料が使われなくなる
ALPS SKCL Yellow (Early)
SKCL Green の後継となるリニアタイプのスイッチ。 Green 同様 LED 用のスリットが設けられている。
軸色は緑から黄に変更された。 Contact plate には一切染料が使われなくなった。
どうやら Green と平行して製造された時期があるようで、切り替え期間だったのかもしれない。その間に製造されたスイッチの仕様はチグハグになっており、たまに Contact plate が Full-hight なものが混ざってたり潤滑剤が塗布されていたりする。
運が良いのか悪いのか、なんと 1 キーだけ SKCL Yellow なキーボードを所有している。修理された形跡もなかった為、おそらく Green の在庫が尽きたのではないかと想像している。相当レアだと思う。
このスイッチだけは保守部品として長期間製造されていたようであり、 2000 年代に入ってもまだ新品を電即納http://www4.alps.co.jp/から入手することができた記憶がある。が、こちらはどうにも仕様が異なるので後ほど記載する。
所有している ALPS SKCL Yellow Switch
- ALPS SKCL Yellow (Full-hight contact plate @ IBM 5550 Multistation Numpad Enter-key only)
- ALPS SKCL Yellow (Non Full-height contact plate @ IBM 5550 Multistation)
ALPS SKCM White (Early)
流通量が多く、入手性の良いクリックタイプのスイッチ。
いろいろなキーボードに採用されており、採用例をあげるとキリがない。
ALPS SKCM Blue に比べクリック感が大味な感じがするが、むしろそれがよかったりもする。個人的には SKCM Blue よりも好みだが単に状態の良い SKCM Blue にめぐりあえていないだけかもしれない。
どうにも品質というか仕様が安定しない製品になっている。噂程度に、昔鍵盤界隈にて当時需要に供給が完全に追いついておらずいろいろな工場に金型を渡して製造させたような話を聞いたことがある。
真実のほどは定かではないが本当に仕様がバラバラで、印字がずれまくっていたりスプリングの長さやメッキの種類すら異なり、しまいにはスプリングの素材自体別物みたいなものも存在している。
好みのスイッチにめぐりあうのが割と難しいかもしれないが、逆にこれはいろいろなスイッチを試すチャンスかもしれない。
所有している ALPS SKCM White Switch
- ALPS SKCM White (SKCM Blue like)
- ALPS SKCM White (Soft feel / Chrome color spring)
- ALPS SKCM White (Short spring)
ALPS SKCM Black (Early) / Pink (Salmon)
タクタイルスイッチ。Black に関しては入手性が良い。
こちらもいろいろなキーボードに採用されているが、当時はまだクリックタイプのほうが好まれたのか、 White よりは採用例が少ないように見える。
Pink は海外だと Salmon と呼ばれている。流通量が少なく、実は今もなお入手できていない。
Pink は Black よりも前の世代とされているが、 Pink を採用したキーボードが軒並み米国のものである感じからもしかするとこれも製造工場の違いなのかもと考えていたりする。
気持ちの良いタクタイルスイッチで、 Orange 同様個体差もあるが入手しやすいので選別もしやすい。
所有している ALPS SKCM Black (Early) / Pink (Salmon) Switch
- ALPS SKCM Black (Wang 735-3770)
- ALPS SKCM Black (DELL SK-D100M)
- ALPS SKCM Black (others)
ALPS SKCM Damped White
SKCM Damped Cream の後継となるタクタイルスイッチ。後継というかコストカットされただけ。
特に書くこともないのだが、軸の樹脂が変更されたのか Damped Cream よりスムーズな気がする。潤滑剤は塗布されていないのに。
クリックと色が紛らわしいのだが、もうそんなことも考える暇すらないほどコストカットの圧が厳しかったのだろうか。そう考えるともうこの時点で ALPS スイッチの未来は決まっていたような気もする。
所有している ALPS SKCM Damped White Switch
- ALPS SKCM Damped White (Apple Extended Keyboard II)
末期
終わりの始まり。壮絶なコストカットが始まる。
強いて言えば樹脂が変更されたのか潤滑剤が塗布されていないのに感触はスムーズになった。が、代わりにものすごく脆くなった。プレートから取り外すと必ず爪が折れる。
大まかな共通事項
- トップケースの構造が簡素化される。埃が入りやすくなった。
- ケースおよび軸が乳白色を帯びるようになる
- 感触がスムーズになる。樹脂が変更された?
ALPS SKCL Yellow (Later)
中期の SKCL Yellow の項にも書いたとおり、このスイッチだけは長い期間製造されていた。 PTOS など業務用機材の部品としても使われていたから、どうしても保守部品が必要だったのかもしれない。
国内で生産されていたからなのかは定かではないが、 SKCL Yellow に関しては末期生産品であってもトップケースの構造が簡素化されておらず、従来どおりの形状となっている。
感触はかなりスムーズ。新品を入手できたのもあるとは思うが明らかに素材が変わっている。その代わりにとてつもなく脆くなった。熱に弱く、プレートからスイッチを取り外すと必ず爪が割れてしまう。
リニアスイッチだが Contact plate の接点を押し下げる時に軽くタクタイルを感じる。初期型の Yellow では感じなかったので、素材の変更が影響しているのかもしれない。
所有している ALPS SKCL Yellow (Later) Switch
ALPS SKCM White (Later)
SKCL Yellow 同様素材が変更されている。特徴は同じで、スムーズになり脆くなった。
相変わらずスプリングの品質は安定していない。いろいろ混ざった状態で、印字もずれていたりする。
Chicony のキーボードに採用例が多く見られるが、単に製造時期の問題だと思う。
所有している ALPS SKCM White (Later) Switch
- ALPS SKCM White (Chicony)
ALPS SKCM Black (Later)
採用例がどんどん減ってきた。後期 Yellow や White に共通する仕様をもつスイッチもあるのだが、そもそも採用例が少なく入手しにくい。
この頃にはゴム枕メンブレンキーボードの存在がかなり大きくなっていた。比較的静かな SKCM Black を採用するのであれば、ゴム枕メンブレンで十分ということになったのかもしれない。
所有している ALPS SKCM Black (Later) Switch
- ALPS SKCM Black (SMK-8851 TW Strongman OEM Keyboard)
ALPS SKBL / SKBM Series
ALPS スイッチの行く末を明確に示したスイッチ。 ALPS による製造ではなく、合弁会社の Forward Electronics による製造。
当初は SKCL / SKCM Series の廉価版としての位置づけで用意されたのか、平行して生産されていた時期がある。それほどまでにコストカット圧が強かったと思うとなんとも言えない気持ちになる。
より新しい製品なのに、 SKDL / SKDM ではなく SKBL / SKBM なのはつまりそういうことだろう。
大まかに共通する仕様としては
- Contact plate の廃止。金属接点の切り出しによる加工へ変更。
- トップケースが従来 Contact plate が担っていた接点の保持の役割を持つようになる
- トップケースの印字がもっこりする。(金型が違う為?)
ALPS SKBL Yellow
ALPS SKCL Yellow の廉価版スイッチ。
よく言われる*4 "Fukka" は Forward Electornics (福華電子) の Fukka。
SKCL Yellow と同様に LED 用スリットが設けられている。が、流通例が確認されていない。(データシートにだけは記載されている)
SKCM Yellow が平行して製造され続けていたためそちらを使用したということなのかもしれないが、詳細はよくわからない。
ALPS SKBM Black (Click)
意味がわからないスイッチ。
というのもクリックとしては SKBM White がある。なんで黒なのかよくわからないが、自分も持っており現実に存在している。
仕様としては SKBM White と特に変わらない。
所有している ALPS SKBM Black (Click) Switch
- ALPS SKBM Black Click (SMK-8851 TW Strongman OEM Keyboard)
ALPS SKBM White
ちゃんと白くなったクリックタイプの SKBM Series
仕様としては SKBM Black (Click) と変わらない。
所有している ALPS SKBM White Switch
- ALPS SKBM White (SMK-8851 TW Strongman OEM Keyboard)
Forward SKBL / SKBM Series
ALPS との合弁解消後に製造されたスイッチ。しばらく製造されていたが 2012 年に製造が終了された。
Fukka SKBL Yellow
存在が確認できてないよ!!!
Fukka SKBM Black / White
基本的に ALPS SKBM Black と変わらないが、トップケースの ALPS ロゴが削除されている。
ボトムケース裏面の SKCM Series の初期に ALPS ロゴがあった場所には、 ALPS ロゴと同じ書体で "FD" の文字が印字されている。おそらく Forward Electronics を示すものかと思われる。
所有している Fukka SKBM Black / White Switch
- Fukka SKBM White (SANWA SUPPLY Keyboard)
おわりに
とてつもなく長くなってしまった上、文体がブレており慣れない長文は書くものじゃないなと思わされた。あとだ、である口調は書いてて心が疲れるのでやめたほうが良いと思った。
この記事は途中まで Hexgears X-1 Mechanical Keyboard (Kailh Choc White) で書きました (部屋が寒く途中で限界を迎え MBP のキーボードに戻りました)